日本企業は中国SNSをどのくらい使ってる?中国SNS利用実態調査~百貨店・ドラッグストア編~
インバウンド復活で注目を集める百貨店・ドラッグストア業界
2023年6 月の訪⽇外客数は、2019 年同月比 72.0%の 2,073,300 人で、新型コロナウイルス感染症の
拡大により訪⽇外客数が大幅に減少した 2020 年 2 月以降、初めて 200 万人を突破しました。また、
2023 年 1〜6 月までの累計は 1,071 万 2 千人となり、上半期の時点で 1,000 万人を超える(※1)など回復傾向にあり、徐々にコロナ禍以前の状況に近づいてきています。
しかしながら、日本を取り巻く環境は常に変化しており、コロナ禍以前に訪日観光客に人気のあった商品が同じように現在も人気があるとは言い切れません。日本商品に対する需要は常に変化しており、インバウンド需要の取り込みのためには訪日観光客の需要トレンドをしっかりと掴んでおく必要があります。
そのような中、現在インバウンド売上を着実に伸ばし注目を集めているのが「百貨店業界」と「ドラッグストア業界」です。
百貨店業界は1991年をピークとして売上高や店舗数が減る傾向が続いていました。しかし、2010年代に入るとインバウンド需要によって下げ止まる傾向を見せましたが、コロナ禍により赤字に転落するなど苦しい時代が続いていました。現在、インバウンドが復活し始め、2023年6月の全国百貨店の売上高は7.0%増と16か月連続のプラスとなり、回復基調が続いています。顧客別ではインバウンドが売上高280億円でコロナ禍の2020年2月以降最高額、コロナ前の2019年比では0.8%と、ほぼコロナ前の水準にまで戻っています。(※2)今後も円安の影響もあり、インバウンド売上の回復が見込まれることが予想されています。
ドラッグストアはインバウンド観光客からの人気が高く、台湾人・香港人を対象としたある調査結果(※3)では、訪日時にどこで買い物をするか聞いたところ「ドラッグストア」が一位となりました。また、日本の薬に対する信頼も高く、中国国内がコロナ禍に陥った際にドラッグストアで医薬品の購入が爆発的に伸びるなど、ドラッグストアは今後もインバウンド観光客からの人気が高まる場所であることが推測されます。
このようなインバウンド復活で注目すべき「百貨店業界」と「ドラッグストア業界」では、インバウンド需要の効果的な取り込みのためにSNS、特にコロナ禍以前に最も大きなインバウンド消費額の割合を占めていた中国で利用されているSNSを積極的に活用して情報発信をしているのではないかと仮定し、百貨店業界とドラッグストア業界、それぞれの売上高トップ10の企業の中国SNSの開設状況を調べてみました!
※1 出典:日本政府観光局(JNTO)「2023年6月推計値」
※2 出典:日本百貨店協会「2023年6月全国百貨店売上高概況」
※3 出典:株式会社ジーリーメディアグループ「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」内でのインターネットリサーチ
百貨店業界の中国SNS開設状況(2023/7/27時点)
2021年-2022年の百貨店売上高10位までの企業(※4)について調べてみました。
百貨店業界では、10社中9社という高い割合でWeChatアカウントが開設されていました。次いでWeibo、RED(小紅書)と、ここまでは10社中半分以上の百貨店が開設しており、高い水準と言えるでしょう。逆に、Douyinはまだ3社しか開設されておらず、百貨店業界で浸透しているとは言えない状況です。
WeChatは、昨今の顧客獲得コスト高騰により顧客管理の方法として注目されている「私域流量(Private Traffic)」に有効で、パブリックチャネルから獲得した顧客(および見込み客)とクローズドなチャットや会員制度の中で関係を築くことができます。百貨店業界ではWeChat Payを導入している企業も多く、WeChatと連動した活用ができたり、よりシームレスな購買環境を提供することで購買促進やリピーター化による来店増加、公式アカウントからの信頼性の高い情報のシェアを通じた顧客の獲得等、インバウンド需要のさらなる取り込みが狙えます。
※4 出典:登販ナビ https://www.touhan-navi.com/contents/column/cat2/001814.php
ドラッグストア業界の中国SNS開設状況(2023/7/27時点)
各社の第3四半期のデータによる売上ランキング第10位までの企業(※5)について調べてみました。
ドラッグストア業界では、10社中半分の企業がWeiboアカウントを開設していました。次いでWeChat、RED(小紅書)が同数の4企業、Douyinを開設しているのはわずか1社のみでした。しかし、企業ごとに見てみると、スギHDはWeibo、WeChat、RED、Douyin全ての中国SNSアカウントが開設されており、その他もツルハHD、マツキヨ&ココカラカンパニー、サンドラッグはDouyin以外のSNSを開設するなど、企業ごとに見ると開設している中国SNSのカバー率は高い状況です。
日本の医薬品に対する需要は引き続き高い状態が継続すると見込まれることから、中国SNSアカウントの開設は今後のインバウンド需要の取り込みに大きく影響してくるのではないでしょうか。
※5 出典:業界動向サーチ https://gyokai-search.com/4-dept-uriage.htm
※本調査の内容を転載・ご利用いただく場合は「アライドアーキテクツ株式会社 中国マーケティングラボ調べ」とクレジットを記載してください。
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